学術界を知る

homogeneousとhomogenous

形容詞「homogeneous」と「homogenous」は同義語として使うこともできますが、それぞれの第一義は異なります。「homogenous」という語には「homogeneous」の持つ意味(つまり、「同質」、「同種」、「均質」)という意味もありますが、それとは全く違うもう一つの意味があります。 「homogenous」の第一義は、生物学の専門用語として「発生起源が同一であるため対応する構造を持っている」すなわち、「歴史的相同の」という意味です。一般的な用法では「同質」、「同種」、「均質」などの意味を表す上で、この2語のいずれを用いることもできますが、学術論文においてはそれぞれの第一義によって使い分けるべきです。 以下に2語の用法を対比します。 Homogenous (1) Although the wings of birds and insects are similar in…

fartherとfurther

形容詞・副詞の働きをする「farther」と「further」は両方とも「far」の比較級であり互換性もありますが、意味上の重要な違いもありますので注意が必要です。 2語とも「より遠い(遠く)」、「もっと先(に)」、「遠い方の」という意味で用いられますが、一般に「farther」は物理的な距離に、「further」は非物理的な距離に対して用いられます。下記にその使い分けの例を示します。 (1) I walked 10 km farther than I needed to. (2)The two groups’…

関係代名詞節1

限定と非限定 関係代名詞節とは、関係代名詞(that、which、who、whom、whoever、whomever、whose)によって導かれる従属節のことです。その文法的な役割は名詞を修飾することであり、形容詞的な役割を担うので、「形容詞節」とも呼ばれます。関係代名詞節は修飾する名詞の意味を限定するケースと限定しないケースとの2通りに分けることができます。 それぞれの場合に応じて、関係代名詞節と関係代名詞自体は「限定的」、「非限定的」と呼ばれ、用法はコンマ使用の有無により区別されます。その使用を支配するルールは、次に述べるより一般的なルールの中に示されています。つまり、ある修飾語・句・節が前の語・句・節の意味を「限定する」場合には、コンマをその間に入れてはならず、意味を「限定しない」場合はコンマを入れなければなりません。 2種類の関係代名詞節(「限定的」、「非限定的」)の使い分けについての基本的な規則は上に述べたとおりです。なお、「that」と「which」の使用法についてはもうひとつ特別なルールがあります。そのルールとは、関係代名詞節を導くために「that」と「which」のいずれかを使用する場合には、非限定的な意味を示すときは「which」を使わねばならず、限定的な意味を示すときは「that」を使用すべきだということです。 下記に関係代名詞節の正しい用法を示します。 限定的 (1) This is the solution to Eq.(2.1) that was…

数値の表記法

英語における数値の表記法方の基本的な基準を要約します。 1. 数字か文字か 1a. 基本的なルール 数値を数字で表記するか文字で表記するかという問題はいつもわれわれの頭を悩ませます。まず、表記方法を判断する際の基本的なルールを述べます。数値が自然数でない場合は、言うまでもないことですが、数字で表記します。自然数である場合は、厳密な規則はありませんが、基本的な目安として数が小さい場合は文字で、大きい場合は数字で表記します。 そこで「小さい」数値と「大きい」数値の境界を決めるのに、以下の3つの基準がよく用いられます。(1)0〜9は「小さい」数値のカテゴリーに属し、10以上は「大きい」数値、(2) 0〜19が「小さい」数値、20以上は「大きい」数値、(3) 0〜99*が「小さい」数値、100以上は「大きい」数値、という具合に、「小さい」と「大きい」の両カテゴリーに分けていきます。 一般的に一貫性が保たれていれば、いずれの基準を採用してもよいのですが、出版物であれば出版社がその基準を決める場合が多く見られます。 *この場合は、たとえば23と78という数字であればそれぞれを「twenty-three」と「seventy-eight」というように表記し、一の位と十の位をハイフンでつなげます。 1b. 数学的、物理学的量 前節で述べた基本的なルールは、自然数に当てはまるものです。しかし、そこにはひとつ例外があります。数学・科学的な議論においては、自然数に限らず整数、あるいは実数になりうる数値がたまたま自然数になることは少なくありません。そうした場合には、その数値が「小さい」自然数であっても数字で表記すべきです。以下がこのようなケースの例です。 This…

性別差別的な言葉づかい

社会言語学的現象のひとつとして、英語において、かつては標準的ではあっても現在は性差別的と思われる言葉づかいが多く存在します。たとえば「人」、「人間」、「人類」のいずれを意味する場合でも「man」を用いたり、性別が特定されていない一般的な「人」を指すうえで男性三人称代名詞の「he」、「him」、「his」を用いたりすることなどが代表的です。以下に、そのような言葉づかいの正誤例を示します。 [誤] Man is a creature of habit. [正] Humans are creatures of habit. [誤]…

exampleとsample

名詞「example」と「sample」が混同されることによって生じる文法的な誤りを、時おり目にすることがあります。それぞれの語の定義とその典型的な用例を以下に挙げます。 example: あるグループを成す複数のものの代表として選ばれた一つのもの。 (1) Japan is an example of a country whose population is presently…

endemic、epidemic、pandemic

名詞「endemic」、「epidemic」、「pandemic」は公衆衛生学の専門用語*としてよく用いられますが、混同されることも多い語です。ここで各語の違いを説明します。 *これらの名詞は3語とも非専門用語として用いられることもありますが、pandemicの場合は非専門用語としての用法はやや稀です。 「endemic」は名詞として用いることもできますが、本来の用法は形容詞であり、名詞として用いられるのは「endemic disease」の短縮形として使用される場合です。形容詞「endemic」は「特定の地域・グループ・時代などに特有の」という意味を示します。それゆえ、「endemic disease」は「地方病」、 「風土病」を意味し、影響範囲が狭い病気に対して使われます。また、「endemic disease」は「流行」という意味を持たず、病気が「長期的」、あるいは「永久的」であるという意味で捉えられます。 対照的に「epidemic」は単に「流行病」を意味し、病気が「特定の地域やグループに限られている」という意味も「長期的な現象である」という意味も含まれてはいません。 「pandemic」は「epidemic」と意味が似ていますが、影響範囲がより広い(全国的、あるいは全世界的な)伝染病の流行に対して用いられます。 以下に各語の名詞及び形容詞形の典型的な用法を示します。 (1) In order for an…

短縮形

短縮形(たとえば、doesn’t = does not、she’s = she is、’90s = 1990sなど)は日常英語では頻繁に使われますが、フォーマルな場面の英語では口語的すぎますので使用を避けるべきです。特に、学術論文にはきわめて不適切と思われます。

代名詞の誤用2

曖昧な使用 日本人著者による論文では、代名詞の曖昧な用法がたびたび見うけられます。代名詞を用いるときは、それが指す対象の名詞の同定が明確で、代名詞が表す意味について解釈の余地がないということを必ず確認すべきです。以下に代名詞の曖昧な使用の典型例とその修正例を挙げます。 [誤] The new experimental technique is particularly noteworthy in the context of the…

代名詞の誤用1

タイトルに出てくる名詞を本文中で直接指し示すこと 学術英語では、著作物中の(章、節などの)タイトルと本文は互いに独立しているものと見なされるため、本文においてタイトルに出てくる名詞(あるいはタイトル全体)を代名詞で指し示すことは誤りです。 たとえば「Passive Transmission by Blood Transfusion」というタイトルの章があるとしましょう。そこで、本文において最初の文を「This is a serious problem in…」と書き出し、「This」でタイトルを指し示そうとすると、タイトルと本文が文脈のうえでつながってしまうことになります。このような構造はきわめて不自然であり、使用するべきではありません。上の例の修正方法としては、「This」を「The passive transmission of…by…