各大学の研究室に訪問し、研究者たちにおける英語力向上の可能性を探るインタビューシリーズ。九回目は、順天堂大学の西岡健弥准教授にお話を伺いました。前編では、ご自身の経験をもとに、英語論文の執筆力向上についてお話くださいます。 ■先生の研究室で扱っている専門分野を教えていただけますか。 私の専門分野はパーキンソン病と、関連の遺伝子の研究です。16年間研究をしていて臨床遺伝学がバックグラウンドになっています。それ以外の臨床上の事柄も研究対象です。2008年から2年間、フロリダのメイヨークリニックに留学しており、パーキンソン病と遺伝子の研究をやっていました。 ■英語論文の執筆や学会の発表の場等で、英語で苦労した経験をお聞かせいただけますか。 苦労は、もう日々、すべてです(笑)。最初の頃や留学中は先生たちに全部手直ししていただいたので自分の英語の学力の問題が表面に出ることはありませんでした。しかし、帰国して自分が論文を作る立場になった頃から壁を感じ始めました。それまでいかに先生方からサポートしていただいていたかを痛感しました。指導いただいた経験をもとに自分なりのものを出していくことに今なお日々奮闘しています。 ■研究室の方々や共同研究者も苦労されていますか。 皆さん、あまり表面には出さない感じはします。 ■若手の研究者や学生は英語の執筆力をどのようにして鍛えていくのでしょうか。 若い先生が英語論文を1本を書く。これは相当大変な作業になります。僕は今、3名の大学院生を指導していますが、なぜ自分がその研究をやるのか、論文を出していくのか、そういう動機が不明確のまま大学院に入る学生さんと、明確にできている学生さんとの間には差があると思います。モチベーションが全然違うとなると、論文を作る作業に耐えられるかどうかにも関わってきます。 まずこのモチベーションが第一だと思います。それはなんでもいいと思います。僕の場合ですが、もともとは医学生のころから病理やDNA、RNAといった世界観が単純に好きで、さらに研究がしたい、留学経験を通して世界中の研究者とつながりたいと思っていました。だからがんばってデータを出そう、 論文 を書こうと、大学院生のときはやっていました。やはり最初に明確な動機がないと、いろいろとうまくいかないのかなと思います。ただ箔を付けたいので、大学院に行ってみましただと、なかなか続かないかと思います。 次に英語の基礎学力の大切さはあると思います。TOEICで700点以上、あるいは英字新聞をある程度読める、それぐらいの英語力がないと、基本的なことが理解しにくいし、書くといってもいきなり書けない。そこの壁はあると思います。 医学部受験まではがんばってみんな英語を勉強しますが、いざ大学に入るとあまりやらなくなり、研修医になると余計やらなくなってしまう。結果としてやらない期間が10年ぐらいあった上で、この研究の世界に入って来ます。きっと昔はできていたはずですが、それができなくなって研究に入ってくる。ここでちょっと大きな壁が1つできます。 だから、英語の環境は維持しておかないといけないと思います。苦手だ、無理だと言ってばかりではだめで、英語のサイトを見たり英語のニュースを見たりするなどして、常日頃から英語にふれておく必要はあるかと思います。さあ、サイエンスの世界で英語をやろうとなったときに、実は相当な壁があり、四苦八苦することになります。…
2017-02-15