リサーチの補助ツールとしてのダイアグラム
オーストラリア国立大学のインガー・ミューバーン(Inger Mewburn)准教授がお役立ち情報をお届けするコラム「研究室の荒波にもまれて(THE THESIS WHISPERER)」。今回はダイアグラムで文献レビューを行い、そこから論文テーマのアイデアを探す方法についてのお話です。 文献レビューの執筆には正直苦労します。読み込みが充分かいつも不安で、重要な部分を見逃して “間違ったこと”を書いてしまうのではないかと思ってしまうのです。10年間以上、論文を書いているのに、そのような思いが消えません。膨大な量の文献を前にして思考停止に陥る博士課程の学生の気持ちが痛いほど分かるのです。ですから、そうした学生たち、そして自分自身が、どうすれば救われるか、いつも考えています。 以前の投稿で、スパイダー・ダイアグラム(情報を整理し線画などで幾何学的に図示する手法)を使って文献レビューを行う方法に触れました。このテクニックはトピックが明確に設定されている場合には有効ですが、嗅覚が必要になるようなケースではどうでしょうか?レビューの全体像を自分で決めてかからなければならないような場合です。 博士課程に入りたての学生が文献検索を行う際や、既存のプロジェクトに新たな分野の文献を取り入れる際には、私と同じような人であれば、行き当たりばったりになりがちです。 私の場合、有用な情報がヒットするのを期待して、Google Scholar等のデータベースに何十個かの検索文字列を入力します。引用文検索で、特定のトピックに関する議論が確認できます。1つの検索文字列での完全一致検索が終わったら、あいまい検索も使用して取りこぼしのないことを確認します。 これは根気のいる作業で、正直あまり体系立った方法ではありません。 最近は、Jonathan Downie博士に勧められたKristin Lukerの著書『SalsaDancing into…