研究被験者を守る倫理的配慮とは
論文に取り組み始めた頃は、研究にさえ専念していればいいと考えがちですが、研究活動を進めていくうちに、実験に参加する被験者を守るための研究倫理は研究の中核をなすものであり、研究デザインの基礎となるものであることに気づかされます。今回は、倫理的に問題視された具体例も踏まえて、主な倫理的配慮について見ていきます。 研究における倫理的問題 出版規範委員会(Committee on Publication Ethics: COPE)をはじめ、科学研究における倫理性の推進を目的とした組織が数多く存在します。こうした団体に共通するのは、研究倫理というものが研究のおまけや脇役ではないという認識です。研究倫理とは、研究にとって不可欠な側面で、常に前提として守られるべき事項なのです。 - 妥当性 研究デザインは、研究ごとのリサーチクエスチョンに対応するものでなければなりません。研究の結論が、提起されたリサーチクエスチョン=研究課題および研究結果に相関するものでなければなりません。また、研究倫理では、使われる方法はリサーチクエスチョンと具体的に関連したものでなければなりません。 - 参加と同意の任意性 いかなる場合も、研究への参加に強制があってはなりません。参加者を信頼させるための説得や虚偽も強制に含まれます。 インフォームド・コンセントでは、個人が研究に参加することに書面で同意しなければなりません。同意書は、研究者と参加者の間で信頼関係が結ばれたという証でもあります。 -…