カテゴリーアーカイブズ: クローズアップ学術界

学術コミュニケーションの変遷からジャーナル編集部との付き合い方まで、あらゆる角度から学術界の“今”をお届けします。

Megajournals vs Regular Journals

オープンアクセス・メガジャーナルの魅力とリスク

インターネットを介してだれもが自由にアクセスすることのできる学術誌(ジャーナル)であるオープンアクセスジャーナルは、伝統的な購読型の学術ジャーナルに比較して、読み手には無料で研究成果にアクセスできるというメリットがあります。また、著者側にも、幅広い読者に研究成果に触れてもらうことができるというメリットがあることから、オープンアクセスジャーナルの果たす役割は大きいと考えられています。

このオープンアクセスジャーナルは、オンラインという特徴から、掲載論文数や刊行頻度に決まりがなく、掲載論文数が増大した結果、大量の論文を掲載する「オープンアクセス・メガジャーナル」の出現につながりました。このメガジャーナルとは、論文掲載においてどのような特徴があるのでしょうか。

■ オープンアクセス・メガジャーナルの特徴

メガジャーナルの特徴としては、主に以下の4点があげられます。
・査読の対象範囲が限定的
多くの場合、メガジャーナルでは科学的な妥当性の確認など最低限の査読を行います。研究内容が新しいか、重要か、といった評価は行いません。
・扱う分野が広範囲
メガジャーナルでは、伝統的な学術ジャーナルと異なり、特定の学問分野や領域に特化せず、広く掲載します。
・比較的安価なAPC
伝統的な学術雑誌と比べて、大量の論文を扱うため、論文掲載料(Article Processing Charges:APC)を低く抑えることができます。
・短期間での出版
査読範囲が限定的であることから、掲載までに必要な時間が短いとされています。

メガジャーナルに掲載されることは、著者にとって投稿してから短期間で掲載でき、かつ、多数の幅広い読者に見てもらえる可能性が広がるという点で魅力的といえるでしょう。

■ 投稿する前に留意すべき点

Nature社によるScientific Reports、BMJ社によるBMJ Open、米国化学会(American Chemical Society: ACS)によるJournal of the American Chemical Societyなど、特段の問題なく運営されているメガジャーナルはもちろんあります。一方で、メガジャーナルの元祖とされるPLOS ONEは、論文の多さからその質が玉石混交になり、徐々にインパクトファクターが下落し、投稿論文数自体も減少しつつあります。さらに、中には要件を満たさずにメガジャーナルを名乗っているだけの捕食ジャーナルもあるため、投稿する際には、投稿を検討しているメガジャーナルが実際どのようなものなのか、内部的な問題を抱えていないか、ねつ造されたデータを利用した論文を掲載後に取り消しているといった問題を起こしていないか、自身の論文の領域を専門としている査読者がいるかなどを確認する必要があります。

メガジャーナルに投稿することは、魅力もある反面、信頼性の低い学術雑誌に誤って投稿してしまうリスクもあります。詳しく知らない学術雑誌への投稿を検討している場合には、自身で十分に調べることが重要です。

最後に、補足になりますが、自身の論文に合ったオープンアクセスジャーナルを探す手段として、英文校正・校閲エナゴでは、「オープンアクセス・ジャーナルファインダー」という無料のツールを提供しています。このツールを利用すると、論文のアブストラクトをもとに、信頼性の高い、学術論文のオープンアクセスジャーナル・ディレクトリ(Directory of Open Access Journals: DOAJ)が提供する学術雑誌のリストから、最適なオンラインジャーナルの候補を選出することができます。候補として表示される学術雑誌の信頼度や論文掲載料を確認することも可能です。

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ジャーナル選択を支援する新たなツール誕生!
今、人気のオープンアクセスジャーナルは


E40_LinkedIn Tips for PhDs

就活に役立つ!LinkedIn活用法

世界中に5億人ものユーザーがいるビジネス特化型SNSのLinkedIn――このサービスが就職活動に活用できるのをご存じですか?LinkedInに自分のプロフィールを載せておくことで人脈が広がるだけでなく、仕事を見つけるのにも役立つかもしれないのです。今回は就職活動を念頭に、ネットワークを広げるLinkedInの効果的な活用法を見ていきましょう。

■ プロフィールで自分を売り込む

LinkedInのプロフィールにはたくさんの情報を掲載することができます。自身の顔写真や経歴、研究内容のスライド、自己PRの動画、さらには研究論文やソーシャルメディアへのリンクも掲載できるため、通常の応募書類に記載できる情報よりもはるかに細かく、自分をアピールすることができます。研究分野での功績を掲載するのと合わせて、同僚からの評価や、専門分野におけるスキルを保証する推薦文を追加することもできます。

また、LinkedInはSNSなので、多少カジュアルな書き方もOKです。提出用書類では使わないような流行語(buzzword)や、研究者同士で使うようなくだけた用語などを使って、読み手の興味を引き付けるのもよいでしょう。

プロフィールを作成する際、研究分野での実績を強調することはもちろんですが、特技やスキルなどのプライベートな一面を載せておくことも有効です。自分の研究分野には直接関係しなくても、他の分野や仕事につながる可能性があるからです。また、多様なスキルや趣味を持っていることはその人自身の魅力にもつながるでしょう。研究実績だけでなく、個性や魅力を最大限に引き出すために工夫してみましょう。

ただし、ダラダラと書き込み過ぎるのはNGです。あれもこれもと欲張りたくなりますが、長々と仔細に書かれたプロフィールを隅々まで読んでくれる人はそういません。LinkedInのプロフィールは、相手に自分のことをもっと知りたいと思ってもらうためのマーケティングツールです。パラグラフを短めに整えて見出しをつけたり、文章を補足する画像を数点入れ込んだりすれば、読み手は内容をぐっと理解しやすくなります。
LinkedInなら書式にこだわらず、プロフィール項目の順番を入れ替えることも可能です。研究成果、目立たせたい経験やスキルなどを効果的に配置し、戦略的に自分を売り込んでみましょう。

■ ネットワークをつなげて人脈を作る

プロフィールができたら、LinkedInでの本来の目的である人脈作りを進めていきます。ネットワークを作るために、まずは知っている人たちとつながることから始めるのは、他のSNSと同じです。同じ研究機関に勤める人たち、出身校が同じ人たち、さらには家族や親せきなどともつながっておくのもいいでしょう。

LinkedInには、知り合いの可能性があるユーザーを表示してくれる「もしかして知り合い?」という機能もあります。これまで自分がつながってきた人や他のユーザーとの共通点をもとに自動で表示されるので、ネットワークを広げたければ、学術的な実績だけでなく趣味なども登録しておくとよいでしょう。また既につながっているユーザーに対しては、自身の推薦を依頼したり、推薦文を書いてあげたりすることも可能です(その内容はプロフィールページに表示されます)。

LinkedInのユーザーは、世界中で5億人。思いがけないところから、自分のキャリアに重要な影響を持つ人と出会える可能性があります。自分の研究分野の人の集まりや特定のテーマに興味を持った人の集まりなど、たくさんのグループがあります。積極的に参加するところから始めて、ネットワークを拡大していきましょう。議論に参加すれば、新しい知見が得られるかもしれません。

■ LinkedInはビジネスツールとして利用する

LinkedInは多くのユーザーとつながることを可能にしますが、見ず知らずの人たちとつながることに不安を覚える方もいるでしょう。確かにFacebookのように、個人情報の取り扱いが問題になっているSNSもあります。しかし、FacebookやTwitterのような情報収集や拡散を目的としたSNSとは違い、LinkedInはあくまでもビジネスの人脈形成を目的としたSNSです。海外ではビジネスパートナーを探すことや、優秀な人材をスカウトすることなどに活用されており、ネットワークを広げることで新たなチャンスを得られるメリットのほうが、何らかのトラブルに巻き込まれるリスクよりも大きいと考えられています。もちろんプロフィールやネットワークを見て相手がどのような人かを判断するのは比較的に容易ですので、忘れずに行いたいところです。

明確な目的を持った場であるゆえ、利用する側のマナーもある程度、担保されています。仕事のエキスパートであり、かつビジネスマナーを踏まえていることが前提なので、安易な冗談や政治、宗教に関する自身の思想を投稿することは控えるべきでしょう。発言は、あくまでもプロフェッショナルとして、中立的な立場で行うべきです。

SNSが普及した近年では、就職したい先にレジュメを送るだけでは埋もれてしまい、興味を持ってもらえないことも多々あります。他の応募者と同じことをしているのでは、希望する職に就くことは容易ではありません。そこで重要になるのが、個人的なつながりです。前もって少しでも接点があれば、人はそれだけで親近感を覚え、興味を持ちやすくなるものです。LinkedInが一役買ってくれる可能性は、大いにあります。

関連記事:
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LinkedIn: The Basics – Part 2
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「フェイク・カンファレンス」を見極める9のポイント

Eメールアドレスを持つ研究者であれば誰もが、さまざまなカンファレンス(会議)への招待状を受け取っていることでしょう。しかし、すべてのカンファレンスがきちんとした組織によって運営されているとは限りません。招待状の多くは、掲載料さえ払えば査読なしで論文を掲載する捕食出版社(predatory publishers)などが主催する、いわゆる「フェイク・カンファレンス」への誘いかもしれないのです。

■ フェイク・カンファレンスはいかにして成り立っているのか

フェイク・カンファレンスとは、通常、「営利目的」で開催される会議を指します。自身をアピールしたい、研究を発表する機会を得たいという研究者の要望に付け込み、開催数を増やしています。最近のデータによると、今やフェイク・カンファレンスの数は、いわゆる正式なカンファレンスの数を凌いでいることがわかっています。

フェイク・カンファレンスの主な収入源は、研究者からの参加費です。研究者が高額な費用を払う見返りに自身をアピールする機会を与えられる、巧妙に仕組まれたイベントです。できるだけ多くの発表者・参加者を動員するため、内容や分野すら異なるテーマの会議を一度に詰め込んで開催することもあります(フェイク・カンファレンスの有名な運営会社の一つであるBIT Life Sciencesは、さまざまな分野の研究者宛に招待Eメールを一斉配信しています)。科学研究のための実績を積みたい、論文を発表したいという研究者、とりわけ発展途上国の若手研究者の純粋な野心を食い物にして、大きな収益を得ていると言えます。

■ フェイク・カンファレンスを見分けるポイント

研究や学術出版に従事する者にとって、フェイク・カンファレンスを見分けることは重要です。着目すべきポイントを紹介します。

1. 参加を検討している会議の運営者が、捕食出版社リスト(後述)に含まれていないか。
2. 専門団体や信頼できる組織が会議を運営しているか。
あまりにも一般的な名前を冠する組織によって運営される会議や、さまざまな分野を一つの会場にまとめた極端に大規模な会議への参加は避ける。
3. 主催者と連絡をとる手段が複数あるか。
ほとんどの正当な組織は、無料のEメールアカウントを使用せず、「.edu」を含むアドレスを有する。
4. 論文のアクセプトまでに要する日数。
ほとんどのフェイク・カンファレンスは、疑うことを知らない研究者を誘いこむため、短期間で論文をアクセプトすると約束する。
5. カンファレンスで研究者や論文への賞を出すことが企画されているか。
多くの褒賞が約束されている会議は注意。
6. 主催者が論文の出版を約束しているか。
正当な会議主催者が出版の保証をすることはない。
7. 編集委員会の委員たちに地域的多様性があるか。
編集委員の全員が同じ場所から来ている場合、フェイク・カンファレンスの可能性がある。
8. 編集委員は、自身の学術的情報を公開しているか。
9. 査読者や編集委員は、査読を行うにあたり学術的に適任か
どのような人物が査読をするかを事前に調べ、適任ではないことを示す根拠があれば注意。

■ 対策の方法は他にも

フェイク・カンファレンスを避けるための対策は、他にもあります。
研究者が信頼できる会議へ参加することをサポートするウェブサイト「Think Check Attend」は、がフェイク・カンファレンスを見分けるためのガイドラインを提供しています。フェイク・カンファレンスは、捕食ジャーナルを出版する捕食出版社によって開催されることが多いため、チェックポイントで記したように捕食ジャーナルのリストを確認することも役に立ちます。コロラド大学の図書館員で研究者でもあるJeffrey Beallが発表した捕食ジャーナル・捕食出版社リスト*が最もよく知られています(Beallは捕食ジャーナル判別の先駆者であり、詳細なリストを作成するために多大な時間と努力を費やしてきました)。

*Beallが作成したオリジナルのリスト(Beall’s List)」は2017年1月以降に閉鎖されており、Beallの趣旨を引き継いだ別サイトにリストが掲載されています。

参照:
Beall’s List of Predatory Journals and Publishers
Exploring the Evidence Base, Beall’s List of Predatory Publishers

■ 学術界への悪影響

フェイク・カンファレンスが学術界に与える影響は計り知れません。根本的に虚偽であるとの問題を横に置いたとしても、ほとんどのフェイク・カンファレンスの主催者や捕食出版社は、査読を行っていません。さらに悪いことに、標準レベル以下の研究論文であってもリジェクトしません。学術的価値がないジャーナルが出回ることによって、正当に評価されるべき研究を見つけ出すことが困難になってしまうのです。

研究者はフェイク・カンファレンスを避けるべきですが、多くの研究者が、甘い言葉と魅力的なパッケージの罠にかかっているのが現状です。経験を積んだ研究者ですら参加していることがあるので、侮れません。フェイク・カンファレンスや捕食ジャーナルの手口が巧妙化する中、より強固な対策が必要です。まずは研究者一人ひとりがフェイク・カンファレンスを見分ける力を持ち、参加しないことが重要です。


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7 Simple SEO Tips to Increase Research Paper Visibility

検索キーワード選定が論文の閲覧数を決める!

膨大な時間をかけてまとめた研究論文、どうせならより多くの人に読んでもらいたいですよね。そのためには、内容をインターネット上にアップするのが最も効果的です。ただし、SNSやサイトにただアップするだけでは、大きな効果は見込めません。Googleなどの検索エンジンで、自分の研究論文をいかに目立たせるか、つまり検索結果の上位に持ってこられるかが鍵となります。検索エンジン最適化(SEO対策)を実践することで、あなたの研究論文に圧倒的な注目を集めることができるかもしれません。

■ 膨大な検索対象データ

何か調べ物をしたいとき、私たちはGoogleなどの検索エンジンにキーワードを入れて調べることでしょう。研究者の場合は、研究関連の情報を検索する際に、学術系に特化した検索エンジンを利用することが多いようです。例えばPubMed。世界の主要ジャーナル、書籍、MEDLINE(1946年以降の学術誌に掲載された医学文献を蓄積したデータベース)に掲載された700万点もの医学系論文を検索し、該当論文の収録先に関する情報、要約、引用数まで調べることができます。また、Google Scholarは、検索キーワードに関連する論文を一覧で表示できます。
ただし、一般的な検索エンジンであれ学術系の検索エンジンであれ、検索対象となるデータは膨大です。これらの中から皆さんの研究論文を、一体どうやって見つけてもらえばいいのでしょうか。

■ SEO対策の進め方

検索エンジンで自分の論文を見つけてもらうための策として、研究論文のタイトルと本文にキーワードを入れ込んでいくのが有効です。該当するキーワードが検索されたときに、そのワードを含む論文を検索結果の上位に表示させるようにするのです。キーワードを選択する際は以下のポイントに注意しましょう。

1.論文のコンセプトを伝える言葉をキーワードとする
2.論文の件名やアブストラクト、見出し、図表、図表などの説明文すべてにキーワードを入れ込む
3.タイトルは端的に最低限の文字数に抑える
4.キーワードはよく検索に使われている語(検索ボリュームの多い語)を選ぶ
5.ウェブサイトやソーシャルメディアなどへのリンクをつける
6.3~4つのキーワードを選び、類義語も含め論文内に入れ込む
7.キーワードに人名や書籍名、認知度の高いイベント、特定の歴史的出来事または重要な言い回しなどを用いる場合は、正しく表記する

このように「キーワード」は、まさにSEO対策の「キー」となるものです。では、どのように決めればいいのでしょうか。

■ キーワードの選び方

検索されやすい語句をキーワードにするには、どのようなキーワードがよく使われているかを事前に調査するのが有用です。検索キーワード調査の一助となるツールをご紹介します。

Googleトレンド:Googleでの最新の急上昇ワードや人気の検索トピックについて調べることができます。キーワードとそのキーワードを含む語句がGoogleでどれだけ検索されているかも確認できます。国別、カテゴリー別の検索が可能です。
Googleキーワードプランナー:こちらはGoogle AdWordsに広告を出稿している広告主向けのツールなので、AdWordsアカウントを作成する必要がありますが、特定のキーワードや関連するキーワード、検索ボリュームを確認するのに便利なツールです。キーワードや広告グループの候補を検索して、キーワードの掲載結果の予測を確認できるほか、複数のキーワードを組み合わせて新しいキーワードを作成することもできます。
Keyword Tool:アカウントを作成しなくても無料で使用できるキーワード検索ツールです(検索ボリュームの取得は有料)。Googleだけでなく、YouTube、Bing、App Storeからもキーワードを含む掛け合わせワード(サジェストワード)を提示してくれます。検索キーワードを入力すると、キーワードの候補が表示されます。候補はよく検索される、すなわち検索ボリュームが多い順番に表示されており、これらのワードを一覧で確認することができます。
Google Correlation:隠れたキーワードを調べることができるツールです。サジェストワードのようなわかりやすい関連ワードではないものの、検索回数で高い相関があるキーワード、つまり一見つながりがなさそうな相関の高いワードを一覧で提示してくれます。

これらの検索キーワード調査ツールを活用することで、論文の内容を適切に盛り込むことができ、かつ検索もされやすいキーワードを決めることができます。ただし、よく検索されるキーワードは時代や時期によって変化していきます。どういうキーワードが検索されているのか、常にアンテナを張っておくことが重要です。したがって、キーワードは一度設定したら終わりではありません。実際に期待した効果が出ているかをモニタリングしていく必要があるのです。

■ 効果検証

効果をモニタリングするためのサービスもあります。例えば、ジャーナル出版社として有名なElsevier社は、論文著者向けに「CiteAlert」という、自社の出版物の中で論文が引用された場合にメールで知らせてくれるサービスを提供しています。またAltmetric社は、論文の引用数だけでなくソーシャルメディアやブログ等での紹介やコメント数など、論文の影響力を総合的に見る新しい論文評価指標「Altmetrics(オルトメトリクス)」を提供しています。これを用いれば、SNS等で自分の研究内容が取り上げられた場合、ほぼリアルタイムで知ることができます。オルトメトリクスを計測するソフトウェア・サービスは複数存在しているので、自分が使いやすいものを探してみるとよいでしょう。

こうしたサービスを活用することで、自分が行ったSEO対策が効果をあげているのか、もしくは期待した効果が出ていないのかの判断ができるようになります。キーワードを適切に選び、SEO対策をすることは、言うまでもなく、論文の影響力を増すことにつながります。検索結果の上位に表示され、簡単に見つけてもらえるようになれば、それだけ他の研究者によって引用される確率は高くなります。そして、引用されればされるほど、論文の信頼性は高まり、さらに引用されるようになります。皆さんも自分の研究内容に興味を持っている潜在的な読者に、確実かつ簡単に論文を見つけてもらえるよう、SEO対策を試されてみてはいかがでしょうか。


博士課程修了者の仕事探しに役立つ求人サイト4選

博士課程終了後、そのまま研究者の道を歩むか、一般的な就職をするのかは人生における大きな分岐点です。日本国内でポスドクの仕事に就くのは狭き門であり、容易ではないことは確かです。しかし国外に目を向けると、そのチャンスは広がりそうです。今回は、博士課程修了者の仕事探しに役立つ検索サイトを紹介します。

■ 日本の博士号取得者の就職状況

文部科学省が毎年行っている「学校基本調査(平成29年度版)」を見ると、博士課程修了者のうち就職者が占める割合は67.7%、そのうち正規採用が53.3%、非正規採用が14.4%となっています。進学も就職もしていない人も18.8%います。大卒(新卒)の就職者の割合が76.1%、うち正規採用率72.9%に比べると、博士課程修了者の数字はかなり低いと言えます。これは、日本では、企業が博士課程修了という学歴をあまり重視しない傾向があることや、相対的に受け皿が小さいことも影響していると思われます。せっかく専門知識と技術を習得しているのに、それを生かす場が少ないのは残念なことです。

一方で、海外には博士課程修了者をより評価する企業や、専門知識を持った研究者を探している研究機関などが多数あります。こうした国外の研究機関などに就職することを考えるのも一案なのです。

■ 研究職向け求人サイト

では海外で研究者向けの仕事を探すには、どうすればよいのでしょうか。多くが求人サイトを利用しており、ここでは代表的な4つを紹介します。

NatureJobs

「NatureJobs」は、Springer Nature社が運営する科学技術関連の求人情報やイベントなどを提供するサイトです。生物医科学、環境科学、科学技術、食品科学、化学といった分野の求人情報が掲載されています。新着情報の検索はもちろん、履歴書をアップロードしておくことができるので、求人を出している機関などに、登録したプロフィールを見てもらうこともできます。

この検索エンジンには世界中の求人情報が掲載されており、働きたい場所(国や都市)を選んで検索することが可能です。また条件を設定すれば、気になる求人情報を通知してもらうことも可能です。

NatureJobsの最新情報とブログ(News and Blog)の中には、Career toolkitとして、履歴書を書くときのコツや面接の心構えなどの就職活動をサポートする情報も掲載されています。登録しておけばNatureJobsからのニュースレターを受信することができるので、業界情報を知るのにも役立つでしょう。

ScienceCareers

米国科学振興協会(American Association for the Advancement of Science, AAAS)/Scienceが運営している求人情報サイト「ScienceCareers」は、キャリアアップしたい研究者に向けた求人情報やツールを提供しています。掲載されている分野は細分化されており(26分野)、求人数は1200を超えます。専門分野、組織の所在地と種類、雇用形態別に求人情報を閲覧することが可能です。履歴書のアップロードや求人情報通知の機能に加え、Careers adviceでは履歴書やカバーレターの書き方に関するアドバイスを読むことができます。キャリアアップに役立つブログ「Science Careerrs」や、求職者へのアドバイスや必要な情報をまとめた「Career Basics Booklet」(日本語要約版もあり)もあります。

またAAASは、仕事を探している研究者と人材を探している機関・企業との交流の場となるサイエンスキャリア・フェアを、実際の会場やオンラインで開催しています。キャリアを模索中の研究者には有益な場となることでしょう。

PostdocJobs

ポスドクの仕事を探したければ「PostdocJobs」もお勧めです。1999年に開設された、ポスドクに特化した求人サイトです。求職者は履歴書を登録することで、それを世界中に発信し、求人に直接応募することもできます。世界中の1,000以上の大学、企業、研究所、政府機関が、優秀なポスドクや研究者を求人するのに利用しており、求職者と雇用者を結び付けるプラットフォームとして活用されています。

EuroScienceJobs

ヨーロッパで働きたいと思っている人には「EuroScienceJobs」もよいでしょう。このサイトは、ヨーロッパで研究職に就きたいと考えている人と、優秀な人材を探している研究機関の情報を掲載しています。3万人もの科学研究者が仕事探しに利用しており、そのうちの55%はPhD取得者だと言われています。特に求職活動が活発なのは、生物学、化学、地球科学、エンジニアリング、数学・コンピューター、物理学の分野です。働く国、分野あるいは特定の専門知識の要・不要、就業先の種類(企業や政府系研究機関など)を条件に設定して、検索することができます。

番外編として、日本国内の求人情報についても少し触れておきます。日本での研究職の受け皿はまだまだ少ないものの、有用な研究者向けに情報を提供しているサイトもあります。科学技術振興機構は、求人公募情報検索「JREC-IN Portal」を設置し、研究職を希望する求職者向けの情報と、産学官の研究・教育に関する求人公募情報をデータベース化して公開しています。また、民間企業も研究者の採用支援に乗り出しており、一例としては株式会社アカリクが大学院生(修士/博士)、院卒社会人、ポスドク、研究者の支援業の一環として、大学院生・研究者・エンジニア専用の求職サイト「アカリク WEB」を提供しています。

■ 母校も情報源の一つ

これらの求人サイトを活用することに加えて、もう一つキャリア形成に役立つものがあります。それは、母校の存在です。多くの大学は、独自の求人情報を収集・公開しています。情報の提示方法はさまざまですので、母校の事務局に尋ねてみましょう。求人情報がウェブで公開されている場合は、他の大学のサイトも検索してみるとよいでしょう。MIT(マサチューセッツ工科大学)やスタンフォード大学は、ポスドクの求人情報を公開しています。

ここで紹介した情報源以外にも、世界にはニッチな分野に特化したポスドク/研究者向けの多様な求人サイトがあります。先輩研究者からのアドバイスなども参考にしながら、必要な情報を探してみてください。

学術以外の仕事にも興味があれば、LinkedInのようなビジネス特化型SNSを使って、さまざまな業界やベンチャービジネスとの人脈を作ることも可能です。仕事を探す方法はいろいろ。研究者を続けるとしても、別の道に進むとしても、多様な検索サイトやSNSを使い分け、多くの情報を収集し、選択に役立てることをお勧めします。

 

ポスドク就活のヒント

ポスドク就活のヒント

  • LinkedInのような職業ネットワークに参加する。
  • コネクションを利用する。
  • スキルを強化する。
  • 母校の求人情報を利用する。
  • 民間の求人も調べる。
  • 履歴書・志望理由書を作成する。
  • 興味のある会社に連絡をとる。
  • 早めに就活に着手する。
  • いつも明るく元気に。

 


13 Popular YouTube Channels for Smart Researchers

研究者におすすめのYouTubeチャンネル13選

YouTubeで視聴可能なeラーニングを一度でも利用されたことがある方は、多いのではないでしょうか。いる場所を問わず、インターネットにつながる環境さえあれば誰でもアクセスして学習ができるeラーニングは、いまや学生や教育者だけでなく、専門家や研究者に至るまで、広範囲に浸透しています。科学系のeラーニングの利用者は、この20年の間に9倍近く増加し、なんと約10億人が利用していると言われるほどです。

中でもYouTubeには無料のeラーニングコンテンツが多数あり、人気を集めています。著名な研究者によるウェビナー(オンラインセミナー)や科学実験の動画だけでなく、アイビー・リーグに所属する大学が提供するチャンネルもあります。大学院生や専門家、研究者のニーズをも満たすほどレベルの高いコンテンツや、教員や教授がオンライン授業の副教材として利用するものも増えてきているようです。こうしたコンテンツやチャンネルに人気がある理由として、手軽にアクセスできることのほか、レコメンド機能により関連性があり見たいと思わせるような別のチャンネルのコンテンツを見つけやすいこともあげられます。

中には数百万人にもおよぶユーザーにお気に入りとして登録されているものも。YouTubeで公開されているものを中心に、質の高い科学系チャンネルを紹介します。

■ 高い人気を誇るオンライン科学系チャンネル

Veritasium
科学系の講義やインタビュー、実験の動画を配信しているチャンネル。代表的な番組として、視聴回数およそ1,600万回の“Can Silence Actually Drive You Crazy?(無音の環境に置かれた人はおかしくなる?)”や、視聴回数がなんと2,000万回に迫る“Anti-Gravity Wheel?(無重力状態の回転車輪)”があげられます。

Vsauce
‘Mind Field’という科学の難問に挑戦するシリーズ番組を公開しています。自動運転を題材にした“The Greater Good(大義-よりよい善)”や、薬物が脳に与える影響を取り上げた“The Psychedelic Experience(幻覚体験)”など、ユニークなグラフィック(図式)やユーモアのある動画でじわじわと人気に火が付き、Vsauceのコンテンツ全体の閲覧回数は計10億回を超えています。

ASAP Science
このチャンネルの制作には、科学者だけでなくミュージシャンも参加し、科学コンテンツに音楽を融合させるべく取り組んでいます。人気の“Are you smarter than average.(あなたは優れている?劣っている?)”をはじめ、科学的題材をユーモアあふれるコンテンツに仕上げて公開しています。

Smarter Every Day(SED)
このチャンネルは、科学的手法と実験の正誤を検証することに焦点をあてています。例えば、脳に損傷を受けた後も自転車に乗れるか、ハンドルが逆向きの自転車でも乗れるようになるか、などの実験を通して脳の動きを検証した“The Backwards Brain Bicycle.(ハンドルが逆向きの自転車)”は、1,700万回以上視聴されています。

Sci Show
490万人を超えるチャンネル登録者がいるこのチャンネル。「無知は憎むべきことである」との主張のもと、“The Trouble with This Year’s Flu Season(インフルエンザの対処法)”といった科学に関するニュースや“What Do Dogs See When They Watch TV?(TVを観ている犬は何を見ている?)”といった小さな疑問を取り上げています。

TED Talks
教育現場で用いられる副教材では最も人気があるといっていいでしょう。TED(Technology Entertainment Design)は科学技術などをテーマとするスピーチフォーラムで、TED Talkとは、TEDが開催する講演の内容をインターネットで配信しているチャンネルです。技術を題材としたthe tech breakthroughシリーズなど、さまざまな題材につき世界中の専門家らによる最新の講演が公開されています。

Life Noggin
これは教育アニメーション番組を公開しているチャンネルで、さまざまなトピック、例えば“What If You Never Ate Fruits and Vegetables?(果物と野菜を食べないとどうなるのか?)”などをわかりやすく説明しています。

Yale Courses
このチャンネルは、名門大学群アイビー・リーグに所属するイェール大学の教授陣が提供するコンテンツです。同大学の教室で録画された教員や研究者による入門課程の講義を、無料で視聴できます。1つのコンテンツの視聴回数が33,000回を超えるほど人気のチャンネルで、生物学から化学、生命科学、医学まで幅広い学術分野を網羅しています。

Stanford Online
こちらもイェール大学同様に大学が開設しているオンライン学習チャンネルです。コンピューターサイエンスをはじめとして、さまざまな科学科目の講義を配信しています。 “Stanford Seminar-Combining Physical and Statistical Models in Projected Global Warming.(スタンフォード講座―地球温暖化における物理学と統計モデルの統合)”など、大学院生によるものも含め、講義形式のコンテンツが多数揃っています。

Scientific American
科学雑誌’Scientific American’による科学系チャンネル。例えば“New Volcano Survey for Materials Ejected from a Volcano.(火山から噴出するマグマの含有物に関する最新調査)”などの動画を見た後、Scientific Americanのウェブサイトで、関連する研究の記事を読んでみるのもよいでしょう。

Mental Floss
アメリカの雑’Mental Floss’による同名のオンラインメディアで、日常生活の中の疑問から文化や科学に関する事実まで、幅広い題材をアニメーションや実写で伝えるチャンネルです。“50 Common Misconceptions.(よくある誤解50)”をはじめ、楽しみながら学べる内容になっています。

Brusspup
このチャンネルは、視覚科学と錯覚に着目した番組を公開しています。“Ultimate Illusions and Science Compilation.(究極の科学と錯覚のコンピレーション)”は、早送りで撮影された動画に音楽を付けて演出されており、視覚効果に訴えるものとなっています。

Minute Earth
これは、名前の通り地球科学に特化しており、数分程度の短い簡潔なアニメーション動画を公開しています。“A Disease’s Guide to World Domination.(病原菌を伝染させない方法)”を筆頭に、漫画のような絵柄と効果音で、子供たちに人気を博しています。

いかがでしたか。ここで紹介したeラーニングはどれも、対象とする視聴者にわかりやすいように、見せ方や講座内容を工夫して作られたものばかりです。インターネット上にはこれらの他にも、科学に興味のある子供から最新の科学研究を深く学びたい大人まで、対象に合わせて多種多様なチャンネルが公開されています。ぜひあなたも、お気に入りのチャンネルを探してみてはいかがでしょうか。


研究発表から論文を作成して投稿しよう!

学会やシンポジウムなどで自身の研究内容を口頭発表することは、研究者としての経験上、とても大切なことです。しかし、ただ発表するだけでは発表者として講演要旨集に記録されるだけで、せっかくの研究内容は参加者や聴衆の思い出となって消えてしまいます。口頭発表をもとに論文を作成して出版すれば、恒久的に記録として残すことができます。しかも、シンポジウムの参加者だけでなく、より広い範囲の人々に届けることもできるのです。発表をもとにした論文作成のノウハウをお伝えします。

■ 研究発表と論文出版には大きな差がある

最初に注意しておきたいのは、シンポジウムなどで自身の研究を発表することと、論文として学術ジャーナルで発表・出版することには大きな違いがあるということです。シンポジウムで口頭発表しただけでは、学術ジャーナルに掲載される論文ほどの信頼性を得ることはできません。掲載に至るためには査読を経る必要があるため、他の研究者のお墨付きを得た内容として学術的価値が高まるのです。論文には研究の背景、手法、結果、考察、引用した文献までも詳細に記録することを前提としているため、出版された研究内容は後世まで残ることになります。これが、研究者としての実績を積み上げることにつながります。口頭発表と比べ、必要な労力は数十倍ですが、その苦労は、論文が掲載された際に報われることでしょう。

■ シンポジウムでの発表を出版する方法

では、研究発表の内容を論文に作成し直し、学術ジャーナルに投稿するには、どうすればよいのでしょうか。出版方法としては、以下の2つに分かれるようです。

主催者による出版-会議録(プロシーディング

学会またはシンポジウムの主催者が、会における発表内容をまとめるものを会議録(プロシーディング)と呼びます。会議録を作成する場合、主催者は、自らの責任ですべての発表者から原稿を集め、出版社に提供します。これが、学術ジャーナル1冊分に相当するボリュームになる場合もあります。

出版については、シンポジウムが開催される前に決定しているのが一般的で、発表者は、シンポジウム後に原稿を作成して提出するよう事前に求められます。そのため発表者は、最初から論文作成を念頭に置いて発表を組み立てておくと、後で文章にまとめやすくなります。

発表者による出版-自主投稿

主催者がシンポジウムのプロシーディングを出版する予定がない場合、発表者は自身の発表内容を論文としてまとめて出版することができます。この場合、発表者が自らの責任で適切な学術ジャーナルを選び、原稿を提出しなければなりません。ほぼすべての学術ジャーナルが、発表論文の投稿を受け付けています。

プロシーディングの出版が予定されていない場合、研究者は、どの学術ジャーナルに、どのような形で発表論文を掲載できるか、あらかじめ調査・計画しておくべきでしょう。研究発表を学術ジャーナルに掲載することは、出版実績となるだけでなく、より多くの人々に自分の研究を読んでもらう有効な手段です。ただし、シンポジウムでの発表前に出版社に論文を提出することは倫理違反ですので、十分ご注意ください。

■ 発表論文の書式

提出する論文が従うべき具体的な書式は、学術ジャーナルごとに決まっています。文字数も学術ジャーナルによって異なるものの、3000語から6000語といったところです。適当な図や表があれば、挿入するとよいでしょう。発表論文の書式は、次のような構成とするのが一般的です。

1. 要約
2. 導入
3. 本文(見出しや小見出しを付けて)
4. 結論
5. 参考文献

発表論文は、会場で配られる10分程度で読めるような簡単なものではなく、研究発表を詳細かつ深掘りした内容となるはずです。論文を書くことを念頭にしつつ発表の構成を考え、また発表で使う言葉をすべて書き留めておくことも、後で論文を作成する際に役立つでしょう。

■ 何よりも重要なのは

発表論文を投稿・出版することはとても大切ですが、何より重要なのは、学会やシンポジウムなどでの発表機会を逃さないよう、常にアンテナを張っておくことです。発表をすることは、自身の研究に興味を持っている聴衆に直接語りかける機会に、また新たに興味を持ってもらう機会になります。発表後の質疑応答で、思わぬ点に気づかされるかもしれません。まずは、自身の研究内容に適した学会やシンポジウムを検索するところから始めてみてはいかがでしょうか。


論文引用の仕方で絶対に抑えておくべきポイント

論文の著者にとって、自分の書いた論文が他の研究者の論文に引用されることは、論文の影響力が上がるという意味で喜ばしいことです。反対に、自分の論文の中に他者の論文を引用することも多々ありますが、この時に注意しなければならないのが、引用の仕方です。これを間違うと盗用・剽窃として、訴訟にも発展しかねません。そうならないために、正しい引用の仕方を抑えておく必要があります。今回は参考文献の記載の仕方と、よく用いられる引用方法についてまとめます。

■ どうやって記載するか-参考文献の記載方法(3種類)

論文中に他人の著作物から得た情報を記す場合は、該当する情報が引用・参照であることを本文中に示し、かつ論文の最後に参考文献としてリスト化する必要があります。

1.本文中に記載する
論文の本文中に、引用文献があることを示す数字か、または引用文献の情報を括弧で記載します。学会や学術ジャーナルによっては数字や著者名、出版年数などの記載方法を示したスタイルガイドがあるので、これを参照しましょう。参考文献のリストは、論文末尾に、数字順またはアルファベット順に掲載します。

例:
・タイリクオオカミは、かつては北米大陸中で見られた肉食動物であった。5(本文中には数字のみ記載する)
・タイリクオオカミは、かつては北米大陸中で見られた肉食動物であった(Smith,1970)。(本文中に著者名と発表年まで記載する)

最初の例は、アメリカ医師会(のスタイルガイドによるものであり、2番目の例は、アメリカ心理学会(によるものです。

2.文末脚注(エンドノート)に記載する
「本文中に記載する」と似ていますが、注釈をつける個所の本文中に数字を括弧書きで記載する方法です。この数字を、論文末尾の参考文献リストの番号と対応させます。

3.脚注(フットノート)に記載する
エンドノートと同様に本文中に数字を記載する方法ですが、参考文献リストを論文末尾にまとめるのではなく、個々の引用を記入したページの下段に記載される点が異なります。

学術ジャーナルに論文を掲載する場合、各誌が著者のためのガイドラインを発表しているので参照できます。また、AMA(アメリカ医師会)、APA(アメリカ心理学会)、MLA(アメリカ現代語学文学協会)、などの学会も、論文執筆者向けに書き方のスタイル(シカゴスタイル<Chicago Manual of Style>など)を提供しています。

■ 引用のルール

参考文献を記載することは、研究の経緯と論拠を示すことでもあります。参考文献を明記することによって、読者は情報が正当なものであることを確認でき、結果として該当論文への信頼の構築につながります。

とはいえ、論文執筆に利用したすべての情報を参考文献に記載する必要はありません。すべてやろうと思えば、途方もない時間がかかります。しかし、どんな場合に参考文献を記載すべきか――は知っておく必要があります。対象には、ニュース番組やウェブサイト、TVやラジオ番組を含め、すべての情報源が当てはまります。

1.直接引用
直接引用とは、一言一句そのまま他人の文章を写すことです。これに参考文献の掲示が必要なことに異論はないでしょう。たとえ単語であっても、引用した語句であれば引用符を付けなければなりません。数行にわたる引用の場合、本文とは明確に区別できる形で書いておきます。

2.間接引用
間接引用とは、他者の考えを自分の言葉に置き換えて書くことです。この場合でも、他者の考えから着想した以上は、参考文献の掲示が必要です。また、引用するにあたっては、専門用語を読者にとってわかりやすい言葉に置き換えることも大切です。

3.要約
要約は間接引用の一種ですが、違いは、主要点のみを短く述べることです。もちろん、これにも参考文献を表示する必要があります。

4.常識
広く一般に知られていることは、それが統計上の情報または研究上の情報でない限り、参考文献を示す必要はありません。

例:
・不要な例――「セントポールはミネソタ州の州都です」
・必要な例――「セントポールは、ミネソタ州の州都で、米国で最も多くの多発性硬化症が発生する都市です」

セントポールが州都であることは一般常識ですが、多発性硬化症が米国で最も多く発生する都市であることは、統計上の情報です。この事実には参考文献を付すべきです。

5.追加情報
結論部分や他の部分で、それ以前に同じ参考文献から同じ内容の記述を引用した旨を一度でも記載したのであれば、再び記載する必要はありません。しかし前述の引用記載とは異なる情報を紹介したり、別の内容を追加したりする場合には、あらためて記載しなければなりません。

■ 間違った引用は身を滅ぼす

盗用・剽窃は重大な不正行為です。発覚すれば、論文を掲載したジャーナルが出版された後であっても撤回を余儀なくされます。著者の所属機関によっては懲戒処分となることもありますし、研究者としての評価は確実に下がってしまいます。

学術機関・学会・出版社によって、参考文献の表示ルールが異なっている場合があるため、注意が必要です。論文を書く際は、まず自身の属する機関のルールを習得しておくこと、さらに論文投稿先のスタイルガイドを厳守することが必要です。

エナゴ学術英語アカデミーではこれまでにも、盗用・剽窃を防ぐ方法について取りあげてきました(「こんな記事もどうぞ」をご参照ください)。ぜひお役立てください。

 

こんな記事もどうぞ
論文の盗用・剽窃を避けるコツ-前編
論文の盗用・剽窃を避けるコツ-後編
研究論文での盗用を未然に防ぐには?


オープンアクセス

今、人気のオープンアクセスジャーナルは

出版界の オープンアクセス 化は、学術研究の知名度と影響力を高めると同時に、学術界でタイムリーに知識を広めることに役立っています。2015年に国際STM出版社協会が発表した報告書『The STM Rreport』によると、2014年には、英語で書かれている査読付き学術ジャーナルは28000誌以上、英語以外の言語で書かれている査読付き学術ジャーナルは6400誌以上ありました。そして、オープンアクセスジャーナルのディレクトリを提供するサイトDOAJ(Directory of Open Access Journals)上のオープンアクセスジャーナルの数も、増加の一途をたどっています。123におよぶ国の論文が掲載されており、英語で書かれているのが7245誌、英語以外の言語で書かれているのが2845誌。学術誌のオープンアクセス化が英語圏以外の国々にも急速に進んでいることは明らかです。

このようにオープンアクセスジャーナルの数が増えてくると、それぞれのジャーナルの性質や影響力を多面的に比較・評価することが重要になってきます。そのための指標として、最も一般的に使用されてきたのはImpact Factorですが、研究者はSJR(SCImago Journal Rank)も参考にして、自身の研究分野に最適なジャーナルを選択しています。ここでは、主な分野ごとによく引用されるオープンアクセスジャーナルを、SJRの指標に基づきリストアップしてみました(下図)。

E11 Open-access-infographic

上の図には、2016年のSJRに掲載された3780誌の中から引用スコアの高かった代表的なオープンアクセスジャーナルの名前と、それぞれの分野におけるオープンアクセス論文の割合「オープンアクセス・アウトプット(OA Output)」を示しています。このOA Outputは2016年のSJRデータを元に算出されたもので、該当分野の論文総数におけるオープンアクセス論文の割合を示しています。全体では13.75%、図中の各分野のOA Outputはそれぞれ、生物化学・分子生物学25.41%、物理・天文学10%、経済・金融7.47%、化学8.86%、社会科学11.1%、工学5.29%となっています。

膨大な数のジャーナルが刊行され、オープンアクセス化も進む中、分野が細分化されていることも相まって選択肢は拡大するばかり。論文の投稿先を選出するのは至難の業です。今回紹介したSJRのランキングや、最適なジャーナルの候補を探してくれるサービスなども存在しますので、利用してみてはいかがでしょうか。

※ 各ジャーナルへのリンクはこちら

生物化学・分子生物学
Genome Biology
Molecular Systems Biology
Cell Reports
Nucleic Acids Research
Nature Communications

物理・天文学
Living Reviews in Relativity
Materials Today
Physical Review X
Nature Communications
Living Reviews in Solar Physics

経済・金融
Theoretical Economics
Quantitative Economics
Judgment and Decision Making
ClinicoEconomics and Outcomes Research
Economics and Sociology

化学
Nature Communications
IUCrJ
Redox Biology
Structural Dynamics
Journal of Cheminformatics

社会科学
Morbidity and Mortality Weekly Report
Scientific Data
Living Reviews in European Governance
Biology of Sex Differences
College and Research Libraries

工学
Materials Today
Frontiers in Neuroinformatics
The Open Bioinformatics Journal
APL Materials
European Physical Journal C

 


自分の論文を広く読んでもらうための7つのコツ

膨大な量の研究論文やデータが公開される今日、苦労して執筆した論文をできるだけ多くの人に読んでもらおうと思えば、それなりの工夫が必要です。論文をプロモーションするための7つのコツを紹介します。

■ 識別番号をとって自分と論文を特定しよう

論文を読んでもらうためには、まず初めに自分の売り込みが必要です。研究者を(組織、専門分野、地域を越えて)1つのIDで識別する取り組みORCID(Open Researcher and Contributor ID)に登録し、自分のIDを取得することをお勧めします。研究者がORCIDの識別番号を一貫して利用することにより、名前や組織が変わっても研究者個人と業績を正しく結びつけることが可能になります。

また、研究論文にDOI(Digital Object Identifier)と呼ばれる識別子を付けることも推奨します。DOIは、ウェブ上の電子文献に付けられるコードです。商品のバーコードや、紙の書籍に対するISBNコードと同じと言えばわかりやすいでしょうか。この恒久的なコードであるDOIが付いていれば、たとえ電子ジャーナルのURLが変わったとしても、興味を持った人は、探したい論文にたどり着くことができるのです。

■ 論文を読んでもらうための7つのコツ

では、ここからは、より多くの人々に論文を読んでもらうためのコツを見ていきましょう。

1. 誰に読んでもらいたいかを考える 

研究論文をより多くの人々に見てもらうためには、読者を念頭においた対策を取らなければなりません。対象はどういった人で、何に興味を持っているのか、どこにいるのか、同じ部門の同業者なのかなど、読者を想定した戦略が必要です。

読者を想定できたら、次はどのように論文に目を止めてもらえるかです。同じ分野の研究者たちがオンラインで論文を見ている度合いや、どのようなウェブサイトを見ているか――など、読者のオンライン利用特性を知ることは、研究をプロモーションする場所を絞り込むのに役立ちます。ソーシャルメディアで言えば、一般的なオープンプラットフォームとして利用者数の多いTwitterが効果的なのか、もしくはもっと限定的なLinkedInのほうが有効なのか。一利用者として自分も使ってみることをお薦めします。

論文のソーシャルネットワーク上でのステータス「Altmetricスコア」を表示するサービス「Altmetric bookmarklet」(Altmetric社)をインストールすると、自分が閲覧している論文がTwitterやFacebook等のソーシャルメディアでどの程度言及されているかを見ることができます。これを参考に、同じメディアを使って自身の論文のプロモーションを行ってみてはいかがでしょうか。

2.ソーシャルメディアを活用する

ソーシャルメディアは、情報のオンライン上での拡散に役立ちます。代表的なのはTwitterとLinkedInです。

Twitterから見ていきましょう。自身の研究内容について投稿することはもちろんですが、それ以外にもできることはあります。フォロワーの関心を引けそうなツイートをリツイートしたり、他のユーザーのツイートや質問に答えたり、見る人を意識した取り組みが重要です。また、興味を持った研究をシェアしたり、著者をタグ付けすることも可能です。

LinkedInは、仕事における人脈の構築やビジネス情報の共有に便利なソーシャルメディアです。最新の研究情報の掲載や、短い記事の投稿による専門知識のシェアを通じて、関心のあるユーザーとつながり、情報交換することが可能です。

3.コミュニティに参加する

オンラインだけでなく、実際に人と会えるコミュニティに参加することも大切です。自身の研究に興味を示しそうな活動組織や団体を見つけて、ボランティアで講演を行ったり、会議開催中にセミナーを開催したりしてみるのはいかがでしょうか。コミュニティの参加者の理解レベルには差があると予想されるので、自身が話す内容が相手にきちんと伝わるよう、工夫しなければなりません。実際に会って話をすることで気づくこともあるはずです。

4.Eメールの署名欄に論文へのリンクを貼る

Eメールの署名は、名刺のようなものです。その中に、論文へのリンクを入れるのも一案です。LinkedInやKudosのプロフィールページへのリンクを書き込むのも有効でしょう。これにより、Eメールを受け取った人々が、研究成果にたどり着くよう誘導することができます。

5.論文を読みやすくする

論文の内容を簡潔に表した要約文を作成してみるのも手です。要約で興味を引ければ、全文読んでみたいと思う読者も出てくるでしょう。要約文は、自身のブログやソーシャルメディア、または自身が属する研究グループなどでの発表の際にも使えます。科学分野の記者の目に留まれば、インタビューを申し込まれるかもしれません。

6.ハッシュタグを付ける

ハッシュタグとは、ソーシャルメディアで投稿内のタグとして使われる「#(半角のシャープ)」がついたキーワードのことです。例えばTwitterで「#科学」「#微生物学」「#天文物理学」などと、論文の分類をハッシュタグと共に記載しておけば、ユーザーは同じハッシュタグが付けられた投稿を検索して閲覧することができます。つまり、科学や微生物学に関心のあるユーザーの目に留まりやすくなるのです。Hashtagifyというツールを利用すれば、人気や話題のハッシュタグを調べることができます。

7.出版社や所属機関の力も活用する

多くの出版社は、学術ジャーナルや論文が読まれるようにソーシャルメディアを活用しています。所属の学術機関も、ソーシャルメディアやEメールリストの活用、さらに報道機関や政府関連部門を巻き込んだ研究促進のためのPR戦略をとっているかもしれません。自身の研究論文をどうすればプロモーションできるか、広報やメディアの担当者に相談してみるのもよい方法です。

■ プロモーションは必須の時代

研究成果のプロモーションは、助成金や共同研究者、学生などを集めるのにも効果的です。出版される論文の数は年々、増加の一途をたどり、学術コミュニケーションの場は、学会などの実世界からインターネット上にも広がっています。このような状況で、せっかくの研究成果を埋もれさせないためには、研究者が論文執筆・投稿の後、自らの成果を伝える努力が不可欠になっているのです。「これでは作業は増えるばかり――」。そうは言わず、AltmetiricやKudosなどの便利なツールを使いつつ、研究論文を広く知ってもらえる策をとってみるのはいかがでしょうか。

 

参考記事
Enago academy:
Using Social Media to Effectively Promote Your Research
Should You Use Twitter to Promote Your Research?
How to Promote My Research
Altmetric blog:
10 clever tips for promoting your research online

こんな記事もどうぞ
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