「先を越されたのは編集局が怠けていたからだ! 訴えてやる!」 そのフツフツとわき出る怒りは、研究者なら誰でも理解してくれるでしょう。しかし、それでは問題解決になりません。ここは、もっと実用的な次の手を考えることにしましょう。
まず、似たような論文に関しては、編集者には特に連絡を取らなくてもよいでしょう。というのは、「ほかのジャーナルに似た論文が出た」と言うからには、では「自分の論文とどう違うのか」とか、「どうして自分の論文も出版されるべきなのか」とか、あれこれ説明が必要となるからです。投稿した論文の掲載意義は、すでにカバーレターに書かれていることですが、編集者がすべてのカバーレターを覚えている訳ではないので、かえって混乱を招くだけでしょう。ただよい機会なので、あとどのくらいで審査が終わりそうなのかを問い合わせてみることをお勧めします。
そして、査読が終わるまでの待ち時間を利用して、出版された類似論文を、その論文が参照している文献も含めてよく読みこなし、自分の研究と比較してみましょう。分からないことがあったら、著者に連絡を取って聞いてみることをお勧めします。その際、あなたの論文を送って、意見を聞いてみるのもよいでしょう。
もし、あなたの論文のジャーナル掲載が決まったら、新しく、もうひとつの論文の存在と、その研究との関連や違いについて書き加えることをお勧めします。基本的に、掲載が決まった論文の内容を大きく変えることは許されませんので、論文自体に手を加えると、もう一度査読審査を受けなければならなくなります。しかし、出版されたばかりのよく似た論文をまったく無視したのでは、読者があなたの論文の正当な意義を理解してくれないかもしれません。編集局に事情を説明し、説明文の草稿を送って、脚注として書いた方がよいのか、本文の”まとめ”のあとにNOTEとして書いた方がよいのか相談してみてください。
論文が掲載されない理由が、「ほかにも似たような論文が出版されているから」というものでしたら、どちらの論文が先に編集局に送られてきたのかを言い争っても問題解決にはなりません。残念ながら、類似論文を参照文献として論文を書き直し、再投稿するしか方法はないでしょう。
どちらにしても、自分より早くほかの研究者に発表されるのは、あまりよい気持ちではありません。しかし、ほかの人も目を付けるような研究を自分もしているのだということは、自分が学会のニーズに合った研究をしているという証拠です。これからも頑張ってください。











