査読をする学術雑誌に投稿したからといって、必ず査読されてコメントと共に返ってくるという訳ではありません。特にハイ・インパクト・ジャーナルとよばる国際的に認知度の高い学術雑誌では、査読者を割り当てる前に、編集者、編集局または編集委員会などで論文を一瞥し、“不適切”として、著者へ論文不掲載の旨を連絡することが多々あります。以下によく見られる即時却下の理由を並べてみました。通常、編集局からの通知には、ごく簡潔に理由が書かれているかと思われます。詳しい理由を聞くよりも、以下のような行間があることを考慮し、論文を書き換えたり違う投稿先を探すことをお勧めします。
1. 「書式を変更してください」といわれた場合
それぞれの学術雑誌によって、書式の規定がかなり違うものです。特に投稿されてくる論文の数が多い編集局では、論文のタイトルや摘要が、一瞥して“あるべきところにない”というだけで、その論文を即時返却することがあります。これは、書式を直して再投稿したら必ず査読者が割り当てられるという訳ではありませんので、編集局にとっても著者であるあなたにとっても、ただの時間の無駄使いでしかありません。同じ学術雑誌への再投稿は可能ですが、必ず書式の規程をよく読み、二回目は完璧を期して挑みましょう。
2. 「私たちの学術雑誌には不適切と思われます」といわれた場合
投稿された論文が、その学術雑誌のスコープから外れていたり、その雑誌の大多数の読者の最近の興味事項からずれていることが考えられます。書き方を工夫して書き直し、同じ学術雑誌に再投稿することも可能ですが、もっと自分の研究にふさわしい他の学術雑誌を探して、新たに投稿するほうがよいかもしれません。
3. 「以前似たような論文がすでに出版されています」といわれた場合
自分の研究がまったく先行研究と同じということは、めったにあるものではありません。しかし、ある特定の分野の研究者には重大な発見でも、とある学術雑誌では同等の重要性を感じられない場合もあります。というのは、色々な読者を満足させなくてはいけない広分野をカバーする学術雑誌では、投稿された論文の新たな発見が、より広域にわたって活躍する読者へどれほどのインパクトが与えられるかを考慮し、掲載される論文を選ばなければならないからです。このような場合は、先行研究との比較が明確になるように書き直し、自分の研究結果の重要性をもっとアピールするようにするか、または、より特定の研究課題に興味を持つ学術雑誌を探して投稿しなおすことをお勧めします。
4. 「満足のいくクオリティーではない」といわれた場合
研究のデザインに大きな欠陥が見られる、結果に対する分析が稚拙または主観的である、英語が稚拙で言いたいことが明確に伝わってこないなど、研究のクオリティーがその学術雑誌掲載のレベルに達していないということになります。編集局はあなたの家庭教師ではありませんので、「どんな欠陥があるんですか?」などと聞いても、なかなか返事が返ってこないと考えられます。自分の周りの研究者に論文を読んでもらい、どうしたら向上できるのか、一から検討する必要があるかもしれません。しかしここでもう一つ考慮したいのが、英語力の問題。英語が母国語でない人は特に、言いたいことが上手く伝わっていないため、研究の質も分析の仕方も国際的なレベルなのに、摘要が余りにも分かりづらく書かれているため、査読者もつかずに却下される場合が多く見られます。“流れるような英語”とはいかないまでも、読者が考え込まなくても読めるように、投稿前に必ず英語の上手な人に添削をしてもらいましょう。
関連記事
査読者の苦悩
Peer Reviewへのすすめ
ハイ・インパクトジャーナル トップ10
最後まで読者の気を引き続けられる論文を書こう!
研究論文の書き方10法則











