‘Journal’ タグのついている投稿

12月
01
2011

各学術雑誌の重要度を示す尺度として使われるインパクト・ファクターが、どのように算出されるかについては、以前学会誌の良し悪し?というブログでお話をしました。その計算式をもう一度見ていただくと分かるとおり、ある論文が、他の論文内で何回引用されたかを表す被引用数は、その論文の注目度や学会への貢献度を計る上で、とても大切な鍵を握っています。

インパクト・ファクターの計算式(再掲)
A = 対象の学術雑誌が昨年中に掲載した論文数
B = 対象の学術雑誌が一昨年中に掲載した論文数
C = 対象の学術誌が昨年および一昨年中に掲載した論文(AとBで数えられた論文)が、今年引用された延べ回数
C / (A+B) = 今年のインパクトファクター

学術論文の被引用回数の割り出し方に関しては、文献計量学(bibliometricsまたはビブリオメトリクス)や引用分析学(citation analysis)といわれる分野で研究が進められており、より本来の影響度を的確に反映した新たな計算方法が、頻繁に提案されています。その中でも近年とくに注目を集めているのは、出版された科学的研究論文の生産力を定量化しようと試みるg-index (Leo Egghe博士提案)や、科学的研究論文や研究者の生産力のみならずその影響力も定量化しようと試みるh-index (Jorge E. Hirsch博士提案)などではないでしょうか。

この他、色々な算出方法が提案されていますが、そのどれをとっても、学術雑誌に掲載された各論文の個別の被引用回数、掲載された論文を書いた執筆者各自の総合被引用回数、またはある学術雑誌における全掲載論文の平均被引用回数など、ありとあらゆる方面から、ただ引用された回数を数えるだけではなく、実際に学会に及ぼした影響力を算出しようという試みが見られます。

被引用回数と学会への影響力の関係やその問題点については、学会誌の良し悪し?でお話しましたので、ここでは論文を書く研究者にじかに関係する問題について少し考えてみたいと思います。

まず、上述の被引用回数の算出方法ですが、多くの場合、掲載された論文の索引のみをデータとして集めて計算されます。そのため、索引に漏れがあったり、著者名を間違って記載すると、功績が認められるべきはずの研究者が認められないことになります。同業者としては、索引を”自分の研究論文の付け足し”のように考えず、細心の注意を払ってまとめたいものです。

また、被引用回数を気にするばかりに、自分の過去の研究ばかりを引用する研究者がいます。もし、その特定の分野の研究をしているのが自分だけならば、別に問題ではありません。しかし、多くの人が議論を繰り広げている研究課題に関して自分の研究ばかり引用すると、被引用回数は上がるでしょうが、その論文の信憑度は大きく下がります。自分の過去の論文は、できるだけ引用しないようにすることをお勧めします。

エナゴ関連サービス
海外ジャーナル投稿支援サービス各種
投稿先ジャーナル選択サービス投稿前のピアレビューカバーレター作成代行などを各種支援サービスをご用意しています。
また引用方法に関してはエナゴの英文執筆ガイドをご覧ください。

関連記事
学会誌の良し悪し?
ハイ・インパクトジャーナル トップ10
最後まで読者の気を引き続けられる論文を書こう!
研究論文の書き方10法則

このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをつぶやく newsing it! この記事をChoix! Bookmark this on Delicious
11月
29
2011

論文を書く身にとって、編集者とは”自分の論文の生死の鍵を握る人”といった感があり、どうしても敵対視しがちです。しかし実際は、あなたの論文をまるで自分が書いたものかのように真剣に読み込み、時間をかけてアドバイスをしてくれる、学術論文掲載直前の最後の砦。それが編集者です。だからこそ、相手の仕事の内容をよく理解し、上手くコミュニケーションを築くことをお勧めします。そこで今回は、編集者の主な仕事をあげてみます。

1. 投稿された論文がその学術雑誌に適したものかの判断する
査読者へまわす前に論文を一読し、その学術雑誌にふさわしいものか、その主旨やフォーマットを確認します。

2. 適した査読者を割り当てる
論文の主旨や研究・分析方法に精通した査読者を探し、査読の依頼をします。

3. 複数の査読者の間で意見が対立した場合の調整をする
査読者の間で掲載の是非などの意見の対立が発生した場合、両者の意見を聞きながら、編集局としての判断を下します。

4. 学術雑誌に掲載するかどうか決める
査読者の意見を元に、学術雑誌の大局を踏まえて、投稿された論文を掲載するべきかどうか決定します。ただし、編集長や編集局が最終決定をする場合は、担当編集者として提言をする場合もあります。

5. 論文の筆者へ査読者のコメントを含めたアドバイスをする
論文の掲載の是非に関わらず、査読者のコメントやアドバイスをまとめ、筆者へ送ります。

6. 論文の筆者と査読者の両者から直接意見を聞き、二者の仲介役を行う
筆者が査読のコメントに質問や反論がある場合、筆者と査読者の間に入って、意見の交換を手伝います。

7. 掲載が決まった論文に対し、具体的なアドバイスを明確に伝える
掲載が決まった論文に対しては、査読者のコメントを元に、具体的にどのような変更や推敲が必要なのか、筆者にアドバイスをします。また、筆者がアドバイスの一つ一つにどのように対応したか、最終確認を行います。
編集者のアドバイスに従って最終校正をする際、査読者や編集者のコメント一つ一つに対し自分がどのような対応をしたか、箇条書きで構いませんので明示すると、編集者の作業が大変軽減されます。掲載までの時間削減のためにも、また編集者へよい印象を与えるためにも、多少手間はかかりますが、簡単な報告書を作成することをお勧めします。

8. 掲載が決まった論文の、掲載日程を決定する
掲載準備の整った論文を、いつどのような形で学術雑誌に掲載するか決定し、筆者に知らせます。

9. 査読者の仕事量や進捗状況の調整する
一人の査読者に査読の依頼が集中しないように気をつけたり、依頼した査読が予定通り行われているか確認するほか、人気のあるトピックに関しては、新たな査読者を探したりします。

10. 論文の筆者や査読者を含むすべての関係者間の問題解決をする
学術雑誌の出版には、印刷業者やウェブサイトのプログラマーや査読者などを含め、思ったより多くの人々の手が加わるため、誤解や意見の衝突は免れません。編集者はそのような時の潤滑油となって、出版が滞りなく行われるよう、全体の問題解決に当たります。

学術雑誌の規模が大きくなると、編集局長、各専門分野の編集長、編集者など、編集局内で上述の作業を分担する傾向があります。しかし一研究者としては、これだけの基本を押さえておけば、編集者を査読者との間において責めるようなミスは防げるのではないでしょうか。投稿から掲載の決定、そして実際の掲載まで、色々不明瞭に思える時もあるでしょうが、編集者が上記のような仕事をしていると理解した上で、確認のメールをすれば、コミュニケーションも的確に行えるでしょう。

エナゴ関連サービス
エナゴでは初めてジャーナルに投稿される方にはアドバンス英文校正サービスをおすすめしています。また投稿先ジャーナル選択サービス投稿前のピアレビュー投稿規定チェックカバーレター作成代行など各種関連支援サービスもご用意しています。

関連記事
投稿先のジャーナルを選ぶ5つのステップ
投稿の際、そのジャーナルの規程どおりに書き変えますか?
拝啓 査読者殿。。。

このエントリーを含むはてなブックマーク Yahoo!ブックマークに登録 このエントリをつぶやく newsing it! この記事をChoix! Bookmark this on Delicious


英文校正・ネイティブチェック