2011年11月 のアーカイブ

11月
29
2011

論文を書く身にとって、編集者とは”自分の論文の生死の鍵を握る人”といった感があり、どうしても敵対視しがちです。しかし実際は、あなたの論文をまるで自分が書いたものかのように真剣に読み込み、時間をかけてアドバイスをしてくれる、学術論文掲載直前の最後の砦。それが編集者です。だからこそ、相手の仕事の内容をよく理解し、上手くコミュニケーションを築くことをお勧めします。そこで今回は、編集者の主な仕事をあげてみます。

1. 投稿された論文がその学術雑誌に適したものかの判断する
査読者へまわす前に論文を一読し、その学術雑誌にふさわしいものか、その主旨やフォーマットを確認します。

2. 適した査読者を割り当てる
論文の主旨や研究・分析方法に精通した査読者を探し、査読の依頼をします。

3. 複数の査読者の間で意見が対立した場合の調整をする
査読者の間で掲載の是非などの意見の対立が発生した場合、両者の意見を聞きながら、編集局としての判断を下します。

4. 学術雑誌に掲載するかどうか決める
査読者の意見を元に、学術雑誌の大局を踏まえて、投稿された論文を掲載するべきかどうか決定します。ただし、編集長や編集局が最終決定をする場合は、担当編集者として提言をする場合もあります。

5. 論文の筆者へ査読者のコメントを含めたアドバイスをする
論文の掲載の是非に関わらず、査読者のコメントやアドバイスをまとめ、筆者へ送ります。

6. 論文の筆者と査読者の両者から直接意見を聞き、二者の仲介役を行う
筆者が査読のコメントに質問や反論がある場合、筆者と査読者の間に入って、意見の交換を手伝います。

7. 掲載が決まった論文に対し、具体的なアドバイスを明確に伝える
掲載が決まった論文に対しては、査読者のコメントを元に、具体的にどのような変更や推敲が必要なのか、筆者にアドバイスをします。また、筆者がアドバイスの一つ一つにどのように対応したか、最終確認を行います。
編集者のアドバイスに従って最終校正をする際、査読者や編集者のコメント一つ一つに対し自分がどのような対応をしたか、箇条書きで構いませんので明示すると、編集者の作業が大変軽減されます。掲載までの時間削減のためにも、また編集者へよい印象を与えるためにも、多少手間はかかりますが、簡単な報告書を作成することをお勧めします。

8. 掲載が決まった論文の、掲載日程を決定する
掲載準備の整った論文を、いつどのような形で学術雑誌に掲載するか決定し、筆者に知らせます。

9. 査読者の仕事量や進捗状況の調整する
一人の査読者に査読の依頼が集中しないように気をつけたり、依頼した査読が予定通り行われているか確認するほか、人気のあるトピックに関しては、新たな査読者を探したりします。

10. 論文の筆者や査読者を含むすべての関係者間の問題解決をする
学術雑誌の出版には、印刷業者やウェブサイトのプログラマーや査読者などを含め、思ったより多くの人々の手が加わるため、誤解や意見の衝突は免れません。編集者はそのような時の潤滑油となって、出版が滞りなく行われるよう、全体の問題解決に当たります。

学術雑誌の規模が大きくなると、編集局長、各専門分野の編集長、編集者など、編集局内で上述の作業を分担する傾向があります。しかし一研究者としては、これだけの基本を押さえておけば、編集者を査読者との間において責めるようなミスは防げるのではないでしょうか。投稿から掲載の決定、そして実際の掲載まで、色々不明瞭に思える時もあるでしょうが、編集者が上記のような仕事をしていると理解した上で、確認のメールをすれば、コミュニケーションも的確に行えるでしょう。

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拝啓 査読者殿。。。

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今回は、学術論文を出版するさい、特に気をつけたなければならない道徳律について考えてみたいと思います。

1. Authorship: 著作者の権利
学術論文を書くにあたり、誰の名前をどのような順番で標記するかということは、今後の予算獲得などにも影響を及ぼす重大な問題です。そこで、研究を始める前から、誰がどのような形で研究に参加または助力したかを書きとめておく癖をつけましょう。また学術雑誌によって、principal investigatorやsenior researcherなどという表現を使って、その研究の責任者を明示するよう求めてくる場合があります。特に共同研究をする場合は、誰がどのような責務を負うのか、適宜話し合いを繰り返し、誤解のないよう進めたいものです。

2. Duplicate Publication: 重複出版
同じ研究の結果を使っても、論点や主旨が違えば複数の学術雑誌に投稿・掲載が可能です。しかし、英文校閲を行って言葉使いを大幅に変えたり、グラフや写真を追加しただけでは、違う論文とは言いかねます。もし同じ研究結果を元に論文をいくつか執筆する場合は、問題を避けるためにも、先に出版された論文があることおよびその論文との相違関係を明示することをお勧めします。

3. Plagiarism & Fabrication: 盗用とでっち上げ
一般に”出版における道徳律”と聞くと、一番に頭に浮かぶのが盗用やでっち上げのデータのことでしょう。この点に関しては以前お話しましたので、詳しくお知りになりたい方は、当ブログの盗作って?をご参照ください。

4. Image Integrity: 映像の信憑性
X線写真などをデータとして使用する場合、映像が見やすいように色をつけたり、明るさを変えたりすることがありますが、行き過ぎると、自分の論旨に沿うようにデータをでっち上げたことと余り変わらなくなります。映像にどのような変更を行ったか、またその際映像にどんな変化が現れたか、読者に簡単に説明するよう心がけてください。

5. Conflict of Interests: 利害対立
研究者の利害対立に関しては、以前お話ししました。詳しくお知りになりたい方は、当ブログの思わぬところに見られる「利害の対立 」をご参照ください。

6. Confidentiality: 守秘義務
実験の被験者を募り何らかの形でデータを集めた場合、その被験者の身元が外部に漏れないようにしなければなりません。そのため、多くの大学や研究所では、被験者の個人情報とデータを全く別に保存し、研究の責任者が特別なコードを参照しない限り、被験者と採取したデータが照合できないようなシステムをとっています。また、特に予備的研究などの小規模な研究の発表をする場合は、名前を明示しなくても、書き方によってはどの被験者のことを言っているのか、周囲の人にわかってしまうケースもあります。「名指しにしなければいい」というのではなく、被験者の立場に立って、被験者の個人情報の管理には十分気をつけたいものです。

なお学術研究の道徳律や、現実に研究を行う際にどのように気をつけたらいいのかを詳しく知りたい場合は、The Committee on Publication Ethics (COPE)という非営利団体が詳しいホームページを作っていますので、ご参照ください。

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日本語で書くにしろ、英語などの外国語で書くにしろ、論文を一通り書き終えてから投稿するまでの作業次第で、学術雑誌掲載の可能性が格段に変わってきます。英語の文法で注意したい点については、前回の「論文を書き上げた後にチェックしたいこと」をご参照いただくとして、ここでは、「最後の一押し」となる最終作業の過程と注意点を確認したいと思います。

1. 学術雑誌を選ぶ
一通り自分で納得のできる原稿を書き終えたら、どの学術雑誌に投稿するか決めます。学術雑誌によっては、特別号や記念号の発行のため、ある一定期間の間、特定のトピックに関する研究論文のみを募集することがあります。このように状況が逐一変わることがあるので、論文を書き始める前にすでに投稿先を決めていても、再度確認しましょう。

2. フォーマットの変更を含む最終校正をする
投稿先を決めたら、その学術雑誌の規程に沿うよう、全体の構成やフォーマットを直します。その際もう一度、冠詞や接続詞など日本人がおかしやすい英語のミス、数字や計算や計量の標記のミス、概要とのずれがないかなど、自分でできる限りの最終チェックも忘れずにしましょう。

3. 投稿前の査読を依頼する
こうして自分でできる限りのことはしたと思える原稿には、どんなに論文を書きなれた人でも、独りよがりなところが必ずでてきます。三人よれば文殊の知恵と言われるように、他の人に読んでもらえば、論点や表現の不明確な点が赤裸々に浮かび上がるものです。
共同研究者や研究を補佐した助手がいる場合は、まずはその人たちに読んでもらうとよいでしょう。しかし最終的には、あなたの研究分野に関して基礎知識があるものの、今回論文にまとめた研究に関しては余り詳しく知らないという人に読んでもらいたいものです。学生時代の研究仲間などに依頼できない場合は、エナゴのような学術論文の校正を専門とする企業に依頼するのもよいでしょう。

4. 見栄えをよくする
他の人の意見や感想を踏まえ最終校正をしたら、学術雑誌への投稿の最終確認をします。まずは再度、自分の論文のフォーマットが、投稿を決めた雑誌の規定に沿っているかを大まかに確認しましょう。その後で必ず、表やグラフがきちんとページに納まっているか、全体の見栄えを確認してください。内容には関係がないので不必要な作業に思わがちですが、投稿された論文を編集局が一瞥した際、「見づらいな」という印象を与えないためにも、ここで数分を惜しまないことをお勧めします。

さて、今回の最後のアドバイスは、物事諦めも肝心です。以上の作業をこなしたら、後は思い切って投稿するのみです。 Good luck!

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一通り論文を書き終わったら、学術雑誌に投稿する前に、必ず英語を母国語としなおかつその論文の主旨をある程度理解できる人に校正をお願いしたいものです。しかし、20ページ前後にも及ぶ論文を一回で完璧に校正することは、理想の校正者にとっても難しく、実際には複数回に渡って見てもらうのが理想的だといえるでしょう。もちろんこれには、友人に頼むにしろ弊社enagoのような校正会社に依頼するにせよ、時間も労力もかかります。そこでお勧めしたいのが、誰かに見てもらう前に、自分で校正に半日を費やすということです。

論文をやっと書き終わったら、すぐさま校正を依頼し、学術雑誌へ投稿したいという気持ちはよくわかります。加えて、余り英語に自信がない場合は、自分で英語のチェックをしても意味がないように思えるかもしれません。しかし、ここで半日を英語の校正に費やし、日本人にとっては些細に見える間違いでも、英語を母国語とする人に取っては混乱きわまりないといった、日本人特有の英語のミスを最小限に減らすことで、最終的には論文の品質も向上し、投稿可能なレベルにする作業も迅速に進むというものです。今回は、特に日本人に多く見られるミスを二つ考えてみたいと思います。

1. A、an、theのような冠詞の誤用
日本語にはないため、ちょっと気を緩めると忘れるがちな冠詞です。しかし英語では、冠詞の有無およびその種類によって意味が通じなくなるだけでなく、意味が全く変わってしまう場合があります。そのため冠詞の誤用が多いと、英語の校正作業に時間が掛かるわりには、とりあえず前後の意味が通るようにする作業に終われて、洗練された英語にする作業がおろそかになりがちです。
急がば回れといわれますが、より効率よく英語のチェックをしてもらうためには、論文を書き終えた後、すべての名詞に対して適切な冠詞が使われているか、自分でも2~3回確認し、それから校正をお願いしたいものです。

2. 接続詞の多用
ご存知の通り、英文は日本文に比べ短いのが通常です。目安としては、論文を書き終えたあと、3行以上に渡る英文を探し、分割できないか検討をすることをお勧めします。
また英文が長すぎないことを確認したあと気をつけたいのが、接続詞の乱用です。日本文は長いため、各文の最初に”そのため”とか”しかし”などの接続詞を用いて、文のつながりを明確にする必要が多々ありますが、英文は短文ですので、全ての文を接続詞で始めると、かえって目障りになります。接続詞は、文の流れがわかりづらいとき、その接点を接続詞で補うためのみに使いましょう。特に”on the other hand”や”consequently”など、理論の流れを示す言葉を乱用すると、本当に焦点を当てたい理論の展開や解釈がぼやけてしまいますので、気をつけてください。

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論文は、何度書いても計画通りには行かないものです。今回は、特に初心者に気をつけてもらいたい落とし穴をいくつかご紹介します。

1. スタートからゴールまで?
研究結果の集計がまとまり出すと考えなければならないのが学術雑誌への投稿ですが、この過程を捉える時に、自分の研究をスタート地点に、出版をゴールに考えがちです。しかし実は、これが大きな落とし穴となりえます。
これから学術論文を書こうとするときは、必ず「どんな読者に読んでもらいたいか」という問いから始めましょう。そしてその読者に自分の論文を届ける最良の手段、つまりどの学術雑誌に投稿するべきかを考えます。それから、その学術雑誌に掲載されるための条件をよく踏まえ、自分の論文に何が必要かを考えましょう。

2. 毎日コツコツ・・・
投稿したい学術雑誌に締め切りがある場合はもちろんのこと、締め切りがない場合も、必ず予定を立てましょう。また予定を立てるときは、盆も正月もないような予定を立てるのではなく、現実に実行可能な予定を立てる必要があります。予定をどれだけ細かく立てるかは個人の好みですが、一番大切なのは、毎日30分でいいから論文に関わる作業をすること。これは毎日かならず論文を書けという意味ではありません。どうも気が乗らないときは、コンピュータ上のファイルの整理に30分間費やすのもよいでしょう。ただ、忙しい日常の中では、一日のはずの休暇が一週間、一ヶ月と伸びるものです。それを防止するためにも、「毎日コツコツ・・・」をモットーに頑張ってください。

3. 骨組みから始めよう
研究者は、自分の研究に関しては、最初から最後まで隅々まで熟知していると思いがちです。しかし実際に論文を書き始めようとすると、複雑な研究内容や結果分析の相互関係が入り組み、論文が枝分かれをしてしまい、全体像がぼやけてしまいがちです。
論文の命題が決まったら、まずはその論文の概要を詳細にわたって書きましょう。初めは、各章のテーマを、そして各章で書くべき内容を、その後、そこで使うべきデータや引用すべき先行文献を・・・。このようにまるで人物画を描く画家がデッサンをするように、論文を書くときもまずは大きな骨組みを書き、それから少しずつ肉づけをすることをお勧めします。その際、細部に注目するよりも、いつも全体像を確認しながら作業を進めることの大切さをお忘れなく。

4. 理想と現実
関連した先行研究を読むだけでも、時間を費やそうと思えば、何ヶ月でも何年でも費やせるものです。またごく小さな研究の結果でも、書き出したら何十ページにも及んでしまうものです。このように、論文執筆には、その時間と内容において、いつも理想と現実のバランスをとる必要があります。完璧な論文を目指すのではなく、命題を簡潔に伝えられる論文を目指して、最初に立てた予定に沿って作業を進めましょう。

5. メモ魔になろう!
ちょっとしたアイデアも、人から進められた先行研究も、必ず書き留めておきましょう。また、メモを取るときには、できるだけ正確に情報を書き留める癖をつけましょう。特に他の人との会話から産まれたアイデアに関しては、誰といつ話したのか、忘れずに書き留めておきたいものです。メモを取ってそれを整理するだけで時間の無駄なような気がしますが、論文執筆途中で行き詰った時に、日ごろ蓄積した情報が功をなします。
昨今では、携帯電話やインターネットを使って、いつどこでもメモを書いたり読んだりできる、Evernoteのような便利なソフトウェアがあります。研究専用のノートを持ち歩くのも手ですが、新しい技術を使って、情報の整理や論文への転用への時間削減を試みてください。

ただ初めての場合はとにかく書き上げてしまうことも大事です。初めから完璧な論文を書こうなど意気込まず、何度か書いて要領や自分なりの書き方をつかんでいくのもいいかと思います。

エナゴ関連サービス
初めてジャーナルに投稿される方にはエナゴではアドバンス英文校正サービスをおすすめしています。アドバンス英文校正では章、セクション単位での構成についてチェックします。またエナゴの英文校閲サービスでは査読者へのコメントの英文校正にも対応しています。

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