2010年8月 のアーカイブ

論文を書き終わったのは夜中の2時。投稿期限も目の前。キーワードはとりあえず頭に浮かんだ言葉を並べて・・・。そんな経験があるのは私だけでしょうか。

キーワードの善し悪しは、ジャーナル出版の是非には関係ありません。多くの査読者はそこまで綿密に読み込まないでしょうから、かなり適当なキーワードを書いても何とも言われないでしょう。しかしいったん出版されれば話は違います。キーワードの善し悪しで、ほかの論文に参照文献として引用されるかどうかが決まると言っても過言ではありません。ひいては自分の論文がどれだけ多くの人に読まれるか、どれだけ学会に影響を与えられるか、という問題につながります。そこで今回は、よいキーワードを簡単に選ぶ方法を考えてみたいと思います。

まず最初に、自分の論文に関係のある言葉をできるだけ多く書き出してください。すぐにいくつか頭に浮かんでくるはずです。なかなか出てこない場合は、自分が参照した文献のタイトルを見るといいでしょう。また、これらの参照文献のキーワードが何だったかを確認するのもよい手です。
つぎに、書き出した言葉の類義語を考えて書き加えます。この際、カタカナの表記で多様性があるものや略語があれば、それも忘れないように注意してください。
最後に、図書館のウェブサイトやサーチエンジンを使って、どの言葉により多くのヒットがあるか、また、ヒットした項目が自分の研究と関係のあるものかを調べてください。ヒット数の少ない言葉は、他の人が検索をするときにもあまり使われない言葉だと考えていいでしょう。この場合、自分の論文のキーワードとしてどうしても不可欠でない限り削除することを考えましょう。
余談になりますが、検索する際には、市や県の図書館ではなく、大きな大学の図書館を利用した方がより正確な結果が得られると思います。また、ヤフーやbingなどのような一般的なサーチエンジンも有効ですが、グーグル・スカラー (http://scholar.google.com/schhp?hl=en&tab=ws)のように、出版物に限定したサーチエンジンも便利です。

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参照した論文の信頼性に疑いの目が向けられると、それを参照したあなたの論文にまで疑惑の目が向けられてしまいます。このような不愉快な体験を回避するために、知らない研究者の研究をまったく参照せず、信頼できる研究仲間や師事した研究者の論文のみを参照文献として使いながら、自分の研究を進めていく研究者もいます。とくに、新しい分野の開拓者として何年も同様の研究に従事してきた研究者に、この傾向が大きいようです。実際に、自分の名前や共著で発表した過去50にものぼる論文だけを参照文献に使ったという論文を見たことがありますが、それはそれで「この人は、この問題に対してここまで研究し尽くしているのだ」と感動に値するものでした。しかし、一瞬の感動が過ぎると、周囲の反応はかなり冷たいものだったと言わざるを得ません。

いろいろな研究を自分の参照文献として取り込むということは、あなたの研究者としての広い見識を読者へアピールすることになります。また、参照文献が、違った学説や研究方法を支持したものであれば、あなたが多くの選択肢の中から今回の研究方法を選び、様々な学説の中から一番正当性のあるものにたどり着いたのだろうという印象を与えるでしょう。逆に、参照文献がひとつの学説に偏っていれば、あなたがほかの学説を知らず、唯一自分が知っている学説を無心に信じ込んでいると思われかねません。研究方法においても然りです。また、自分や自分の研究仲間の論文だけど参照すれば、どんなによい研究をしても、「この研究者は視野の狭い人だ」と笑われる危険性があります。参照文献には、自分の研究の是非を証明するという以外に、自分の研究者としての信頼性を読者へ訴える機能があるということをお忘れなく。

もちろん、一般読者用の科学雑誌に書かれたエッセイを研究論文のように取り扱ってはもともこうもありませんが、そのことは皆さんもよくご存じのことでしょう。以前お話をした「参照論文の選び方」をもう一度読んでいただいて、より有益な論文を見つける手がかりにしてください。

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