論文の中でも「考察」は、「研究方法」や「研究結果」に比べ、日本人と英語ネイティブとの差がハッキリする部分だと言われます。研究の優劣よりも「考察」が弱いために、論旨の重要性をアピールすることができず、却下された論文も多いことでしょう。これは英語力の差ももちろんありますが、日本人の多くが、英語で書く考察の基本を押さえていないせいでもあります。

一般に「考察」では 、「序論」で議論した問題点や仮説に結びつくような書き方をしなければならないと言われています。このため「考察」を、単に「序論」の回答を提示する場所だと誤解している人が多いようです。しかし本来よい「考察」とは、「研究結果」で著した事実の解釈を論じ、「序論」で提示した問題点に答えるだけでなく、それが研究対象項目の理解に、今後どう影響するかを考える場所でなくてはいけないのです。そのためには、「考察」で語られる視点が、「序論」で仮説を立てた視点から、もっと先へ移行していなければなりません。もし、書き終わった「考察」を読んで、「序論」の内容の繰り返しが多くみられたら、何かが足りないと思って間違いないでしょう。

また、複数の研究について発表する場合は、研究結果を記した順序で、まずは各々の結果に対する考察をまとめてから、全体像を考えなくてはいけません。このため、それぞれの研究の繋がりと全体の関係をよりわかるようにするために、研究結果を発表する順番が実際に実験を行った順番と異なることもあるかと思います。順番によっては、全体像が掴みにくくなることもありますので、「研究結果」を書き始める前に、「考察」の進め方を十分考慮して、細心の注意を持って決めたいものです。

既に説明した研究結果を必要以上に繰り返すのも、日本人によく見られるミスのひとつです。“A の値が0.5から0.3下がった”のような生データは、「考察」では、“Aの値の急激な減少は・・・”のようにデータの意義に焦点をあてた書き方にかえましょう。また、繰り返しを避けるために、「考察」で新しい研究結果を提示するのは御法度です。全体の関係を明確にするために、「考察」で新しいグラフを導入したり、新たにほかの研究を引用したりするのは構いませんが、どんな些細なことでも、「考察」で議論される研究結果は、すべて「研究結果」で紹介されたものであるようにご注意ください。

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