研究論文の書き方を理論的に説いた本は、たくさん出版されていますが、実際に論文を書く段階になると、抽象的で理想的なあまり、役に立たないことがあります。そこで、実用的で具体的なアドバイスを幾つかあげてみました。

1. よい論文は、よい素案(アウトライン)から
何を書くか頭の中では分かっているつもりでも、いざ書き始めると複雑に絡み合う研究結果が上手につながらないものです。そこで論文を書き始める前に、必ず素案を書きましょう。「イントロ」、「研究方法」と見出しを書いたら、その下に要点を書き足していきます。それからそれぞれの要点を書く時に使う引用文献を書き込んでください。また、シャレた言い回しを考えついたら、それも忘れずに書き加えていきましょう。論文を書き始めたら、必ず素案に従いましょう。

2. タイトルは広告塔
論文のタイトルには、ほかの研究者がインターネットで参照文献を探す時に使うキーワードが含まれていなければなりません。また、ジャーナルの目次を見ていて、思わず読みたくなるような魅力を持ち合わせていなければなりません。研究の内容を正確に表現しようとして、異常に長いタイトルをつけるのは避けましょう。

3. キーワード
読者が検索する時に使いそうな言葉を、類義語や省略語も含めて考えましょう。自分が参照した文献のキーワードを見るのもよい方法です。また、候補に挙がったキーワードを使ったら、インターネットで何が出てくるかを見るのもよいでしょう。詳細は以前お話しした「キーワードって大切なんですか?」を参照してください。

4. アブストラクトは読者を味方にする正念場
アブストラクトでは、論文が答える(または”答え得る”)疑問点を、できるだけ多く書き出しましょう。論じる疑問点が多ければ多いほど、より多様な読者をひきつけることができます。しかし、空約束はいけませんので、ご注意を。

5. 研究方法の紹介は簡潔に
投稿先に選んだジャーナルの読者が本当にあなたの論文に適した読者ならば、研究方法を逐一説明されなくても、あなたが何をしたか分かるはずです。研究方法の紹介は簡潔にし、研究が客観的に行われたということを立証することに重点を置きましょう。

6. 研究結果は全部書き尽くす意気込みで
結果の中には、全体の論点から少しずれるものや、あまり重要とは思えないものも出てくるものです。しかし、「この研究によって何が発見されたか」は論文の最重要点です。あなたがどれだけ細心の注意を払って研究結果を見ているかを誇示するためにも、「本論に関係ないから」といって簡単に結果を省略しないように心掛けましょう。一見関連のなさそうな結果を明確に説明するのは簡単なことではありませんが、素案を綿密に書き上げていれば問題はないはずです。

7. 奥深い分析で読者をうならせよう
研究分析は、あなたの研究者としての知識と認識の深さをアピールする場所です。ほかの研究との比較も含め、データは多義的に批判的に分析しましょう。

8. 結論は簡潔に
ここまでくれば、読者はあなたの論旨を理解しているはずです。そのため、論旨を分かりやすくまとめるようとすると、同じことの繰り返しになって読者の関心を失いかねます。ここでは、思わず引用したくなるような装飾的な言葉を多用して、発見の偉大さを訴えましょう。

9. 索引文献は多く確実に
日本での出版と比較すると、アメリカでは「索引文献は多ければ多いほどよい」という傾向があります。また、同じ文献でも初版を読んだのか第二版を読んだのかなど、正確な情報を求められます。出版年などの必要事項が分からない場合は索引できなくなりますので、素案を作る時は、参照文献の情報をできるだけ細かく書き写しておきましょう。

10. フォーマットの確認は二度
以前、「研究論文が却下される10の理由」でもお話ししましたが、ジャーナルのフォーマットに沿っていないばかりに投稿した論文が即時却下されることも少なくありません。投稿前に、フォーマットが合っているか複数回にわたって確認しましょう。

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